ホームページで集客を考えている方の中には、「サイトにアクセスはあるのに商品購入や資料請求につながらない」などの悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
資料請求がホームページで集客する最終目的なら、ホームページの資料請求のボタンから、資料請求フォームに移動し、送付先の情報を入力して送信するところがゴールです。
この一連の行動は「コンバージョン」と呼ばれ、サイトにアクセスした人のうちコンバージョンに至った人の割合は、CVR(コンバージョン率)と呼ばれて、サイトの目的がどれくらい達成できたかの重要な指標になっています。
この記事では、「自分のサイトのコンバージョン率は低いのでは?」「業界での平均値はどれくらいなんだろう?」など、CVRが伸びずに改善方法を探している方に向けて、コンバージョンが増えない原因や具体的な改善方法についてご紹介します。
CVRについて理解を深めて、ホームページの運営業務にお役立てください。
CVR(コンバージョン率)の意味と計算式
CVR とは「Conversion Rate(コンバージョンレート)」の略で、コンバージョン率や顧客転換率とも呼ばれています。
サイトにアクセスしてきたユーザーのうち、どれくらいが資料請求やお問い合わせ、商品購入、会員登録などに至ったかの割合を示す数値です。
この値が高いほど、ページに訪れたユーザーを効率よく見込み客に転換できていることになります。
CVRは次のような計算式で求めることができます。
計算式
コンバージョン数÷セッション数×100 =CVR(%)
仮に100人がサイトに訪問したうち、5人が資料請求したなら、CVR(コンバージョン率)は5%になります。
計算例
コンバージョン数5人÷セッション数100人×100 =CVR 5%
CVRはサイトに訪れたユーザーに対してだけでなく、外部のサイトに広告を掲載した時に、広告にどれくらいの効果があったのかを測る指標としても用いられています。
たとえば、Web広告のクリック数が多くても、クリックした先に表示されるページから資料請求やお問い合わせが少なければ、コンバージョン率は低くなります。
その場合、人の興味を引き付けることに成功し広告効果は高かったことになりますが、売上にはつながらなかったことになります。
売上向上を目的に広告を出稿したなら、広告をクリックした先に表示されるページを改善しなければコンバージョン率は上がらないことになります。
CVRとCTRの違い
広告が表示された回数に対して、それをユーザーがクリックした回数は、CTR(Click Through Rate)と呼ばれ、検索結果を見た人がどれくらいの割合でそのサイトを訪問したか測る指標として用いられています。
CTRは「表示回数に対してクリックされた率」を表し、次のような計算式で求めることができます。
計算式
クリック数÷表示回数×100=CTR(%)
仮にある広告の表示回数が10,000回だったうち、クリック数が500回なら、CTR(クリック率)は5%になります。
計算例
クリック数10,000回÷表示回数500回×100=CTR 5%
CVRとCTRは、似ているため混同されやすいのですが、CVRは「Webサイトや広告のパフォーマンスを測る指標」として用いられ、CTRは「Webサイトや広告の成果を測る指標」として用いられていることが2つの指標としての違いです。
CVRの重要性
企業がWebサイトを運営する目的の多くは、自社の商品やサービスの申込につなげるためです。
コンバージョンで測る成果は、商品の購入や資料請求、お問い合わせ、会員登録、アプリのダウンロードなど運営するサイトによって異なりますが、利益に直結する重要な指標になります。
また、CVRの目標値を設定して数値を高めようとすることで、コンバージョンにたどり着くまでの経路でサイトの問題点に気づくこともできます。
例えば、Web 広告から商品ページに遷移して商品ページの購入ボタンをクリックするとコンバージョンになる経路で、Web 広告のCTRの数値は高いのに商品ページの購入ボタンのCVRは低いという状況なら、商品ページと購入ボタンを改善すればもっとCVRが上がる可能性があるでしょう。
逆にWeb 広告のCTRの数値は低いのに商品ページからのCVRが高ければ、広告を改善することでもっとCVRを伸ばせる可能性があります。
このようにサイトの施策が上手くいっているかどうかを分析する上でもCVRは重要な数値だといえます。
CVRの平均値
CVRの計算方法や重要性がわかったら、自分のサイトでもCTRの目標値を設定したいですよね。
でも、何を基準に目標値を設定したらいいのか悩む人も多いのではないでしょうか。
CVRの平均値は、サイトのページからなのか、広告からなのかでも違いますし、広告の中でも、リスティング広告やディスプレイ広告、SNSの広告などその種類によっても違いがあります。
ここでは、計測する状況ごとのCVRの平均値を紹介します。
業界別の平均値
ウェブサイトやスマートフォン、アプリでの顧客体験分析クラウドを運営するContentsquare(コンテントスクエア)は、毎年、独自に調査した「Digital Experience Benchmark Report」を発表しています。
このレポートは11以上の業界で、25以上の国の200億以上のユーザーセッションを測定したものです。
その2021年度版によると業界全体のCVR(コンバージョン率)は1.82%で、業界別には下記のようなCVRとなっています。
業界 | CVR平均値 |
アパレル | 2.6% |
自動車 | 0.4% |
B2B | 0.6% |
美容 | 3.2% |
家電製品 | 1.2% |
エネルギー | 0.0% |
金融サービス | 1.0% |
食料品 | 5.0% |
ラグジュアリー | 0.8% |
旅行 | 2.4% |
通信 | 0.7% |
業界全体 | 1.82% |
出典元:2021 Digital Experience Benchmarks by Industry
このように業界によってCVR(コンバージョン率)の平均値は違ってきます。
この中に貴社と同じ業界がありましたら、自社のCVRと比較してみてはいかがでしょうか?そうすることで自社コンバージョン率の良し悪しを知ることができるでしょう。
検索ネットワーク広告とディスプレイ広告のCVR平均値
Googleの広告全体の平均コンバージョン率は、広告の方法によっても違いがあります。
たとえば、ユーザーがキーワードに関連する語句で検索した時に、検索結果近くに表示する検索ネットワーク広告の場合は、平均コンバージョン率は4.40%になり、ウェブサイトやアプリ上の広告枠に画像や動画、テキスト形式で表示されるディスプレイ広告の場合は、平均コンバージョン率は0.57%となっています。
この結果からは、検索ネットワーク広告を見ている人の方が、ディスプレイ広告を見ている人より積極的に情報を探していることがわかります。そうかといってディスプレイ広告の価値が低いというわけではなく、認知力という点では検索ネットワークよりも効果を発揮します。
何を目的として広告するかによって、最適な手法を選ぶことが効果を最大化することにつながるでしょう。
参照元: Conversion Rate Benchmarks: Find Out How YOUR Conversion Rate Compares
SNS広告の平均値 (インスタ、ライン、Facebookなど)
近年は、Facebook、Instagram、Twitter、LINE、TikTok などSNSの種類が増えてきており、広告で利用できる範囲が広がってきました。
その中でも利用者が多いFacebookについて詳しく解説いたします。
すべての業界にわたるFacebook広告の平均クリック率(CTR)は0.90%ですが、Facebook広告に関しても業界毎に平均クリック率には次のような違いがあります。
業界 | 平均クリック率 |
衣服 | 4.11% |
自動 | 5.11% |
B2B | 10.63% |
美しさ | 7.10% |
消費者サービス | 9.96% |
教育 | 13.58% |
雇用と職業訓練 | 11.73% |
金融と保険 | 9.09% |
フィットネス | 14.29% |
家の修繕 | 6.56% |
健康管理 | 11.00% |
産業サービス | 0.71% |
法的 | 5.60% |
不動産 | 10.68% |
小売 | 3.26% |
テクノロジー | 2.31% |
旅行とホスピタリティ | 2.82% |
参照元: Facebook Ad Benchmarks for YOUR Industry
CVRが低くなる原因
CVRは、利益に直結する指標です。
クリック課金型の広告を運用している場合は、CVRが低下すると1つCVにかかる費用が高くなってしまうことや、ECサイトの場合は売り上げの減少することにもつながります。
CVRが低くなるときに起きていることが多い原因は次の5点です。
市場環境の変化に対応できていない
CVRは外部の環境に影響を受けてCVRが下がることがあります。
例えば、日焼け止めのクリームや汗ふきシートなど、夏には売れるものも、秋、冬と季節が変われば売り上げも落ちます。それは季節的に需要がなくなっただけで当然の結果といえるでしょう。
CVRは、季節や流行の変化、物価の変動に左右されるものです。
ターゲティングが明確になっていない
サイトに訪れるユーザーとターゲットが一致していないとCVRは伸びにくくなります。
Web広告に掲載する場合は、ターゲットを間違えると、成果につながらないユーザーに広告することになり、せっかくの広告費が無駄になりかねません。
ターゲットは具体的かつ慎重に設定して、広告やWebページ制作の機会を無駄にしないようにしましょう。
導線が複雑になっている
コンテンツは充実しているのになかなかコンバージョンにつながらないという悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?ユーザーがサイトに訪れた時に、サイトが操作性が悪くてほしい情報になかなかたどり着けなかったり、視覚的に欲しい情報が見つけずらかったりすると、ユーザーにストレスを与えてしまいCVに至る前に離脱につながることもあります。
サイトに訪れたユーザーをお問い合わせや商品購入などにつなぐためにも、ストレスなく目的地に移動できるような導線設計が必要です。
ユーザー目線に欠けている
訪れたサイトの商品情報のページがどれも画一的で、ページ毎の商品の違いや魅力が感じられなかったり、専門用語が多く、誰でもわかる内容になっていなかったりなど、コンテンツ量は多く内容も充実しているのに、ユーザー目線が欠けていることで、魅力が伝わりにくいサイトになっていないでしょうか?
リニューアルのタイミングなどに初めてサイトを訪れた人にも伝わりやすいように見直しましょう。
競合他社の方が魅力がある
競合他社の方が魅力的なキャンペーンを打ち出していたり、デザインやキャッチコピーなどクリエイティブな面が良くできていたりすると、他社のサイトにユーザーが分散してしまい、CVRの低下につながります。
サイトを比較されたときにも選ばれるような優位性のあるコンテンツやデザイン、独自のアピールポイントを普段からサイトに反映するようにしましょう。
CVRを改善するには
ここまでCVRの重要性や低下する原因をご紹介してきましたが、ここからは、CVRの数値を改善する方法についてご紹介します。
コンバージョンのハードルを下げる
コンバージョンを商品やサービスの購入に設定していた場合、対象となる商品やサービスが高額であったり1度購入したら長く使う物だったりすると、直ぐには購入の決断ができずコンバージョンしにくいことがあります。
そのような場合、コンバージョンの設定が「見積りをとる」や「資料請求をする」にすれば、購入よりは抵抗なく申し込めるのでCVRも改善される可能性がでてきます。
ターゲットを絞る
CVRが伸びにくい原因としてサイトに訪れるユーザーとターゲットが一致していないことが挙げられることを「CVRが低くなる原因」でも紹介しましたが、それを一致させるには、まずはターゲットを明確にする必要があります。
たとえば、自社の商品やサービスを利用しそうな人物はどれくらいの年齢で、性別や職業は何か、どのような趣味趣向を持っているかなどです。このように条件を想定してつくられた架空の人物は、ペルソナと呼ばれ「ターゲット」を定義するときによく利用されます。
ペルソナを設定してターゲットが絞られたら、Webサイトはターゲット層にニーズのある商品やサービスを載せたり、共感するようなコンテンツを載せたりすることで、ターゲットに向けたアプローチの精度を上げることができます。
キーワードの明確化
ターゲットが明確になれば、その年齢や性別、趣味趣向などを参考にして利用するキーワードも見つけやすくなります。
広告で集客を増やしたいときや検索からの流入を増やしたいとき、検索ボリュームが多いキーワードを選びがちですが、そのキーワードで広告やサイトへの流入が増えても、ターゲットと合っていなければCVに至らずに離脱してしまいます。
逆に検索ボリュームが少なくてもターゲットに合ったキーワードで設定していれば、サイトの内容がユーザーの共感をよび、CVに至る可能性も高くなります。
CVRを伸ばしたかったらターゲットに一致したキーワードで施策を行うことが大切です。
サイトの表示速度を改善する
検索エンジンで気になった情報をクリックしたときや、偶然気になった広告をクリックしたとき、そのリンク先のページを表示するのに時間がかかってしまい、あきらめて他のサイトを見ることはありませんか?
サイトの表示速度が遅いと、コンバージョンに至る前に離脱する可能性があります。
コンバージョンが利益に直結するECサイトでは売り上げにも影響を及ぼしかねません。
実際に大手通販サイトのAmazonが計測したデータでは、サイトが0.1秒遅くなると売り上げが1%減少するという結果が出ています。画像のサイズが大きく処理に時間がかかってしまったり、サイトを表示するためのソースコードに問題があるなど、表示速度を下げる要因はさまざまありますが、遅いと感じたらCVRに影響が出る前に原因を見つけて改善しましょう。
CVRを改善する施策とは
CVRが低くなる原因の1つとして「市場環境の変化に対応できていない」ことを紹介しましたが、CVRを改善するためには、その要因が季節の変化なのか、物価の変動なのかなど外的要因を見極めて、状況に応じた施策を行う必要があります。
「A/Bテスト」で外的要因を見極める
「A/Bテスト」は、一部の条件だけを変えた2つ以上の施策を同時期に公開し、一定の期間データを測定することで、どの施策が高いコンバージョン率を得られるかを検証する方法です。
「A/Bテスト」は、その検証では効果があったのはどちらのパターンかを決めるだけでなく、効果の要因がどこにあったかを分析し、サイトを改修する部分を特定することにも役立ちます。
コンバージョンまでの導線を改善する
ユーザーが欲しい情報に迷わずたどりつけるためには、コンバージョンに至るまでの導線設計が重要です。
Webサイトが多くの情報に溢れていて、サイト構造が複雑になりすぎている場合は、ユーザーがどこに進めばいいかわからずに離脱している可能性があります。ユーザーがどのような流れで情報にたどり着くのかを整理し、それに合わせてデザインやコンテンツ内容を改善しましょう。
コンテンツページにコンバージョンボタンを設定し、そこから商品やサービスページにつなぐ導線設計の場合、リンク先のページが単に仕様だけを説明する内容だと、商品やサービスを購入することで自分にどのような利益や効果があるかをイメージできずに離脱してしまう場合があります。
そこで提案したいのが、コンテンツページと商品やサービスページの間にブリッジページを設定するPAGE Deliveryです。
ブリッジページを設定することで、ユーザーが商品やサービスを得ることで生活がどのように変わるのかを仮説立て、コンバージョンへの道筋を明確にしてCVR向上に導きます。